
太田光海
1989年10月2日東京生まれ。映像作家・人類学者・文筆家・美術科。博士(社会人類学)。現在、東京を拠点に活動する。
止めどなく複雑化する世界において「他性」を自らに取り込むことの可能性について、映像、写真、サウンド、テキストを用いて表現する。特に、人々が己の生を取り巻く環境との関係性を変容させるあり方や、人間、植物、動物、その他の諸存在が歴史的に構築してきた緊張やもつれ合いに関心を持ち、従来の分類的思考を侵犯する知覚の可能性を探究する。
神戸大学国際文化学部でカルチュラル・スタディーズ、現代思想、映画論、国際政治、人類学など、幅広い知識に触れる。卒業後、フランス・パリの社会科学高等研究院(EHESS)で人類学修士号を取得。在学中、共同通信パリ支局にてジャーナリスト、フォトグラファーとして勤務しつつ、パリ郊外の移民系出自の人々を中心としたコミュニティでフィールドワークを行う。また、シネマテーク・フランセーズであらゆる種類の映画を浴び続けるうち、映画製作に目覚めた。
人類学と映画製作の融合を目指すため、拠点を英国に移し、マンチェスター大学映像人類学部博士課程に入学。エクアドルのアマゾン熱帯雨林に住む先住民、シュアールの人々の村に1年間滞在し、フィールドワークを行いながらドキュメンタリー映画『カナルタ 螺旋状の夢』を撮影・編集。ウェナー・グレン財団の助成を受けて完成させた。デビュー作となった同作は、2021年に日本全国で劇場公開される。国際民族学映画祭最優秀学生賞、文化庁映画賞文化記録映画部門優秀賞をはじめ、国内外で受賞多数。
2021年には、東京のキュラトリアル・スペース「The 5th Floor」にて初となる個展「Wakan / Soul Is Film」を開催し、映像インスタレーションと写真作品を展開した。Atami Art Grantへの参加や京都のBnA Alter Museumでの個展(2022年)開催などを通し、現代美術のフィールドにも活動の場を広げる。2024年、ポーラ美術振興財団の助成を受け、ブラジルに1年間滞在する機会を得る。北東部のバイーア州・サルヴァドールで憑依儀礼や身体表現について探究を行いつつ、エクアドル、メキシコ、ペルーで『カナルタ 螺旋状の夢』劇場公開を実現。
現在、恋人でアーティストのコムアイの妊娠期を捉えることで命の場所を再想像する映像詩『Pulsar 2073』を制作中(2027年完成予定)。また、アマゾン熱帯雨林で行った1年間のフィールドワーク経験を基にした民族誌的ノンフィクション『リキッド・アマゾニア』を執筆中(2027年完成予定)。